海法紀光原作・千葉サドル作画による学園コミック。まんがタイムきららフォワード(芳文社)にて連載され、単行本全12巻で完結。2015年夏にはテレビアニメ化され、全12話が放送された。
巡ヶ丘学院高等学校には、「学園生活部」という少し変わった部活動があります。部長を務めるのは、明るく元気いっぱいな女子生徒・由紀です。彼女は自分の通う学校が大好きで、部活動の一環として、なんと放課後の校舎に寝泊まりしながら生活するという、ユニークな毎日を送っています。
学園生活部には、由紀のほかにも個性豊かなメンバーが集まっています。冷静で物静か、しっかり者として由紀を支える少女。動物が大好きで人懐っこい、犬を連れた後輩。小さな体ながらも皆をまとめる、頼れる先輩格の生徒。そして顧問を務めるのは、生徒たちを温かく見守る、少し天然なところもある若い女性教師です。彼女たちのやりとりは終始賑やかで、読んでいるだけで自然と頬が緩むような、微笑ましい空気に満ちています。
彼女たちの日課は、屋上に作った小さな菜園で野菜を育てたり、誰もいない校内をあちこち探検してお気に入りの場所を見つけたり、放課後には手作りのおやつを囲んでおしゃべりを楽しんだりと、どこか懐かしさを感じさせる、のんびりとした学校生活です。制服のまま眠りにつき、朝は皆で顔を洗い、屋上で育てた作物を収穫して料理をする。誰もいない放課後の校舎を舞台に繰り広げられる彼女たちの「日常」は、一見するとありふれた青春の一コマのようにも見えます。
しかし、物語を読み進めるうちに、読者はふとした違和感に気づき始めます。がらんとした教室、やけに静まり返った廊下、他の生徒や教師の姿がどこにも見当たらないこと。由紀たちは屈託のない笑顔で毎日を過ごしていますが、そののどかな日々の描写の端々には、言葉にしがたい不穏な空気が静かに漂っています。それが何を意味するのかは、ページをめくりながら少しずつ、しかし確実に明らかになっていきます。
本作は、女子高生たちの微笑ましい学校生活を描いた「日常もの」としての顔と、じわじわと迫る緊張感を湛えた物語としての顔を併せ持つ、唯一無二の読み味が魅力の作品です。単行本は全12巻で完結し、物語は高校編(1〜5巻)、大学編(6〜9巻)、ランダル編(10〜12巻)の三部構成で展開し、巻を重ねるごとに由紀たちを取り巻く世界の姿が徐々に明らかになっていきます。
2015年7月から9月にかけて放送されたテレビアニメ版(全12話)は、この原作のうち高校編にあたる1〜5巻、ちょうど卒業式を終えたところまでを丁寧に映像化しました。可愛らしいキャラクターデザインと穏やかな日常描写の奥に隠された作品の本当の姿は、ぜひ実際に手に取って確かめていただきたいと思います。アニメの範囲を見終えて続きが気になった方は、原作6巻から先の物語にもぜひ触れてみてください。